2026/1/17

『温室/オンシル』​​(仮)予告上演

Greenhouse / Onsil (temp.) Trailer Performance

https://inunosenakaza.com/GreenhouseOnsil_TrailerPerformance

作:三野新
演出:山本浩貴(いぬのせなか座)
出演:石川朝日

2026年1月17日(土)
13:30開場/14:00開始
@スペース「水性」

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おもに自身で撮影した写真・映像をもとに、展示や上演など様々なかたちでフィクションを制作・発表してきた三野新。
かれが、土地間の移動や「役」をテーマに韓国・ソウルなど各地を取材し執筆を続けている最新戯曲『温室/オンシル』(仮)の、第一部「出港」パートを、実験的なリーディング公演として上演します。

出演は、劇団「Dr.Holiday Laboratory」をはじめ多くの上演作品に出演する俳優・石川朝日。
演出は、三野の第一写真集『クバへ/クバから』を共同制作し、その後も三野作品の批評を行なってきた「いぬのせなか座」主宰の山本浩貴。

上演前には、三野の過去作から『温室/オンシル』(仮)に強く関連する作品として『外が静かになるまで』『息をし続けている』の2作の映像を上映。

さらに上演後には、特別ゲスト(大岩雄典さん、権祥海​​さん)を招いてのトークイベントも開催します。

終了後は新年会も開催予定(参加自由)。ぜひご参加ください。

 

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概要

◆日時:1月17日(土)13:30開場/14:00開始
◆チケット代:2500円 ※会場当日精算

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タイムテーブル
13:30 開場
14:00-14:30 『外が静かになるまで』映像上映
14:30-15:10 『息をし続けている』記録映像上映
15:10-15:25 休憩・転換
15:25-16:00 『温室/オンシル』第一部 予告上演(演出:山本浩貴/出演:石川朝日)
16:00-16:15 休憩
16:15-17:45 公開相談会
相談する人:三野新、山本浩貴
相談を受ける人:大岩雄典(美術家)、権祥海​​(東京都現代美術館学芸員)
18:30- 新年会(参加自由、別途会費2500円、事前予約制)
※新年会だけの参加も可能です。

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クレジット
作:三野新
演出:山本浩貴(いぬのせなか座)
出演:石川朝日

トークゲスト:大岩雄典(美術家)、権祥海(東京都現代美術館学芸員)
宣伝美術:山本浩貴(いぬのせなか座)
写真:三野新
制作:山本さくら
主催:After Quiet

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三野新より

ある土地から別の土地へ移るとき、人はどのように呼び名を与えられ、どのように役割を背負わされていくのか。そこには、いつもわずかな温度差と呼べる感覚が生まれます。
新作戯曲『温室/オンシル』(仮)は、その温度差を抱えたまま立ち上がろうとしている小さな温室を出発点とするプロジェクトです。

寄せ集めの素材でどうにか支えられているその構造物には、歴史の反復や、降りることのできない「役」、境界にまとわりつく湿度のようなものが滲んでいます。
ここ数年、いくつかの都市と出来事を往復しながら、わたしはそうした気配をどのように舞台として立ち上げうるのかを考えてきました。

今回は、その新作戯曲の「予告上演」と呼びうるイベントです。新作のうちの第一部「出港」のパートを、実験的なリーディング公演として行うことで、今後実現していくであろう上演のイメージを立ち上げる、そのまさに入口に立つことを目的としています。

新作戯曲は、大型フェリーに載せられた仮設の温室を舞台としています。その中で、「石」と「鉄線」と「トラック」という三つの登場人物が、出港前のわずかな時間に語りはじめる声に耳を傾けるという内容になります。
かれらの声は、きっとわたしたちが日常の背後で何度も繰り返してきた「やめることのできない物語」の輪郭に触れようとするでしょう。それは与えられた役としての声であると同時に、誰のものとも特定できない呼吸のような声でもあります。

今回の予告上演/リーディング公演は、完成したかたちを示す場ではありません。
これから作品がどこへ向かおうとしているのかを、観客とともに確かめていくための試行として位置づけています。
当日は、『温室/オンシル』(仮)と深い関係を持つこれまでの作品の映像上映や、今後の展開について率直に意見を伺う相談会も開きます。
映像上映においては、今回の新作にまつわるわたしの過去映像/パフォーマンス作品をお見せすることで、新作に至るまでのガイドのような存在として考えていただければと思います。
途中からの参加や、短い時間だけの滞在も歓迎です。
新しい年の最初に、この「まだ決まりきっていない状態」を一緒に引き受けてもらえたら嬉しく思います。

演出には、いぬのせなか座の山本浩貴さんをお迎えします。
ことばを繊細に扱いつつ、それらを領域横断的に思考/試行し続けている山本さんと、この作品を立ち上げていけることに、心強さを感じています。
出演には石川朝日さんが参加してくださいます。
躍動的で、観客に対して強い印象を残し続ける石川さんの身体が、この温室の空気や時間をどのように変えていくのか。わたし自身も一人の観客として立ち会うような気持ちで、とても楽しみにしています。

作品は、まだゆっくりと芽吹く場所を探している途中です。
この日に交わされる言葉や沈黙、その場の気温や人の集まり方といった細部までが、これからのわたしたちの新作のかたちを少しずつ変えていくはずです。
その最初の一場面に、ぜひ立ち会っていただければ幸いです。

三野新

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出演
石川朝日
   

©︎RK

俳優。1995年生まれ、穴の世代。Dr.Holiday Laboratory。野田秀樹に会いたくて多摩美に入学、だが中退、そして渡仏。ジャックルコック国際演劇学校に入学。仏語、授業、ギリギリ、3畳の元・女中部屋、素パスタ、鶏肉に湧いた蛆、ああ!フランスの風。2年ここに生きた!苦しかった。なぁんにもわからなかった。楽しかった。言語が消えたサイレントブレインのため帰国し、浦島太郎に。浮遊したまんま。ルコックと日本演劇の大きなギャップ&コロナ禍でまさに迷子。よし、歩こう。伊勢神宮への道中、鹿の親子は、私が何時間も何千歩もかけて歩いてきた道を、2歩でゆく。もう見えない。『神秘的』。私は踏み出す。この一歩一歩で母から遠ざかっていく。歩行者。

演出
山本浩貴(いぬのせなか座)

1992年生まれ。様々なジャンルや領域を横断しつつ、現代における表現と生のあいだの関係を検討・提示している。

小説家・詩人としての活動のほか、2015年に制作集団・出版版元「いぬのせなか座」を立ち上げて以降は、編集者、デザイナー、批評家、演出家など幅広く活動。
主な小説に「無断と土」(『異常論文』『ベストSF2022』掲載、2021年)、「Puffer Train」(前半部で群像新人文学賞小説部門最終候補、2012-3年)。批評に『新たな距離 言語表現を酷使する(ための)レイアウト』(2024年、フィルムアート社)、『フィクションと日記帳』(いぬのせなか座、2025年)。デザインに『クイック・ジャパン』(159-167号、太田出版、2022-23年)、吉田恭大『光と私語』(いぬのせなか座、2019年)。企画・編集に『早稲田文学 特集=ホラーのリアリティ』(2021年秋号)。演出に『インポッシブル・ギャグ』(松原俊太郎作、京都芸術センター、2025年)。現在『SFマガジン』にて小説「親さと空」連載中。

劇作
三野新

©︎Mayumi Hosokura

写真家、劇作家。Interdisciplinary Artist.

福岡県生まれ。周縁化された場所やものに残る記憶や風景を繋ぎ、「ここ」と「あそこ」の中間項を見つけ前景化させることをテーマに研究と実践を行う。主に自身で撮影した写真・映像をもとにフィクションを作り、それを自己と他者の身体、様々なメディアを通して発表するなど、領域横断的に活動している。

2011年早稲田大学文学部演劇映像コース卒業、2017年東京藝術大学美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程修了。博士(美術)。

2022年から2023年までAsian Cultural Councilの助成を受け、ニューヨークに滞在。現在は東京と神奈川を拠点に活動。

近年の主な展覧会・公演に、「2025 Nanji Residency Open Studio: Swing-by」 (ソウル市立美術館 Nanji Residency、ソウル、2025)、「外が静かになるまで」(十和田市現代美術館spaceほか、青森、2023)、「クバへ/クバから」(ANB Tokyo、2021)、『うまく落ちる練習』(京都芸術センター、2019)など。

related works

クバへ/クバから(2020-2022)
〈沖縄の風景〉や〈(非)当事者性と表現〉をテーマに、三野新の過去作と(コロナ禍における)最新のリサーチ、そして「いぬのせなか座」との議論などを経て展開された、展覧会・写真集・上演から成る長期プロジェクト。

プロジェクト概要・年表

写真集『クバへ/クバから』

山本浩貴による解説テキスト

 

外が静かになるまで(2023)

米軍基地を擁する青森県三沢市でのリサーチから書き下ろされた戯曲「外が静かになるまで」と、十和田市現代美術館をはじめ十和田のまちなかの複数の場所を会場にした複数のインタレーションで構成された実験的展覧会(=上演)。

展覧会ページ

戯曲

山本浩貴による批評